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犯人はなぜ密室を作るのか?

今回は、なぜ殺人事件の犯人は密室を作るのか?、について検討していきたいと思います。

犯人が意図的に密室を作る場合、考えられる理由は8つあります。

  1. 自殺か事故死に見せかけるため。

  2. 密室に出入り可能な人間、あるいは被害者とその密室に共にいた人間に嫌疑をかけるため。 

  3. 密室を作ることで、犯罪の立証を妨げるため。

  4. 被害者の死体発見を遅らせるため。

  5. 密室現場が犯行現場であると錯覚させるため。

  6. 密室トリックを思いついたので試してみたかったため。

  7. 真の密室であることを隠すため。

  8. 密室の作成に伴うある行為こそが、犯人の真の目的であり、密室作成でその行為をカモフラージュするため。

以下により詳しく説明します。

現場に犯人の出入りした状況が無ければ、他殺ではなく自殺又は事故死に見なされます。

現場が施錠されており、鍵の持ち主が一人ならばその人物のみが現場を出入りできたということになり、その人物に嫌疑が掛けられます。

また、密室に被害者ともう一人いたならば、犯行が可能であったのはその人だけとなり、嫌疑をかけることができます。

密室が解かれない限り、警察は犯人を逮捕することが出来ないです。

現場を密室にしておけば、現場には誰も入れないので死体発見が遅くなります。

現場が密室でそこに他殺体があれば、警察はそこが犯行現場だと考えるはずです。実際には別の場所で殺害し密室現場に運んだ可能性も存在します。犯行現場を誤認させることによるメリットを得るために現場を密室にします。

自己顕示欲や虚栄心に基づくもので、密室のための密室である。殺人の動機は他にあるが、どうせやるなら思いついた密室トリックを試してみようと思った。

真の密室とは自殺又は事故死のこと。それを隠すために意図的に作られた密室だと偽装しすること。つまり、自殺または事故死では困るために、密室トリックを用い他殺に見せかけた。この場合、密室には密室トリックの細工の痕跡を残す必要がある(痕跡が一切ない方法だと自殺や事故死を疑われる)。

その行為のみを行うと不自然なので、その行為を含む密室の作成を行うことにより、カモフラージュしようとした。

参考文献

”密室蒐集家”、 大山誠一郎 著

 
 
 

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